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第七章
第六節 薬剤供給制度確立の成果 −−薬物治療費の比較−−


さて、ここで第一章にあげたプロプラノロール(一日量、四〇ミリグラム)という、心臓病によく使う薬の、患者さんが支払う薬物治療費を再掲してみよう。病状の安定したこの患者さんは、一年間に四回検査を受けることとしよう。


● デンマークでは、三ヵ月毎に通院して四回の処方が書かれ、
 一年分の薬物治療費は、一四、五一二円

一錠当り三六円二九銭(年末に四〇錠余る)
インデラル一〇〇錠入り一七七・〇クローネ(三、六二八・五円)

● 西ドイツでは、同じに年に四回の処方が書かれ、
 一年分の薬物治療費は、一六、一二八円

一錠当り四〇円三二銭(年末に四〇錠余る)
ドチトン40 一〇〇錠入り五一・〇四マルク(四、〇三二円)

● わが国の代金は、健康保険の制限があるために、
 一ヵ月毎に通院して、

甲表病院の投薬五八、五八〇円
(デンマークの七・三倍、西ドイツの三・七倍)
薬局の調剤八八、九二〇円
(デンマークの一〇・七倍、西ドイツの五・三倍)

この違いは、すでに縷々述べたヨーロッパの薬剤師達の長年にわたっての成果と考えられる。薬局の適切な規模を確保し、長期の薬物治療に焦点を合わせて剤型、包装を合理化し、薬局の業務を効率化し、同時に、薬物治療の費用を医療費の中に埋没させず、一目瞭然と明確にした等の結果が現れている。いうなれば、薬剤師の薬剤供給(医薬分業)制度での努力の結晶ともいうべきものである。

わが国では、薬代に診察料が混在していること、モノ(薬剤)と技術が分離していないので、検査をしない月(二ヵ月目、三カ月目)の薬をのむためにも、再診料などの費用を支払う仕組みになっている。医師の診察費が、薬剤費と密接に関わり合って、分離できないところに問題がある。言い換えれば、わが国の診療費は、何回も患者さんを見ないと、報酬がもらえないようになっているということである。

この数字を見ただけで、高齢社会を迎えたわが国で、今後ますます増大するであろう高血圧、糖尿病などの慢性疾患の薬物治療の薬代の支払いに関しては、根本的な発想の転換がどうしても必要となることを理解して頂けるに違いない。


(注)現在のわが国では、円高が急速に進行したために、物価などの国際比較が行ない難い。ここでは、一九八七年九月中旬の為替中値を用いた。



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