第四章
第五節 大憲章の影響 −−薬の行政の基礎−−
この法律は、シチリアという一地方でつくられ、施行されたものである。内容が、薬の本質をついた内容を持っているため、すぐにヨーロッパ中に広がり、各国、各地の同業組合の規定は、この原則に忠実な行動を継承してきている(第六節参照)。
中でも重要なのは、これによって地域の薬の責任者が作られたことである。薬剤師業が作られたというより、これらの原則によって、ヨーロッパ社会の薬のコントロール、つまり薬の性質に対しての調教が始まったといえよう。専門の職業人を置き、その人々を責任者として、薬の複雑な性質を制御させる。そして社会の知恵というべき、様々な方策を総合的に駆使して、薬に取り組むことにしたのである。
この法を同業組合に取り入れたことが、弊害をまき散らしていた薬を囲いこみ、薬剤師が薬剤師らしく活躍し始める端緒となったのである。
七百年以上たった現在の各国の薬事法、薬剤師法にも、いまだに、これらの原則が新鮮に生きていることは、驚くべきことだといわれている。
こうして南部ヨーロッパに誕生し、基礎固めの進んだ薬剤師達は、その後どのように発展していくのだろうか。