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大衆薬販売と薬局の機能(5,7)
インタビュ-、薬事時報、昭和60年11月4日
○国民皆保険の実施以降、日本の医療ばかりでなく、大衆薬を取り巻く環境は大きく変化してきたわけですが、最近では、国の医療費の増嵩の中で再び大衆薬のあり方や今後の方向づけに対して検討が行われていますが、薬局機能面からみて大衆薬はどうあるべきでしょう。
水野 昭和30年代の薬局では、抗生物質など今では考えられない薬までをOTC薬として販売することができた。いわば薬局の店頭医療ができた時代であった。これと比較すると現代のOTC薬は、昔の買薬の考え方が再び戻ってきたわけではないと考えるべきでしょう。OTC薬が売れるから過去が戻ったと考えるのは早計です。今、OTC薬のあり方や今後の方向に明るさがあるというが、この背景には高齢化社会へ向けての医療費を抑制させなければならないという政策的な意図があります。国民皆保険以降、今日までの変化は世界に数例をみない変化であり、我々プロフェションといえども変化に対応していかなければなりません。
○変化に対応して新たなプロフェションとしての役割を考えなければなりませんが、新たな役割を考えるためにはどのような観点が必要でしょう。
水野 OTC薬を単に売るだけでは役割は果たせません。地域住民のヘルスケアの道具としてOTC薬を販売・提供しなければならないでしょう。ヘルスケアの内容・範囲は今後決めなければならないことがまずあります。高血圧や心疾患の患者で医師に行きたくない人もこれに含めるかとの問題もでてくるが、守備範囲を決め、対応するOTC薬の種類も合せて決定することでしょう。
また、OTC薬の有効性も問題になるだろう。最終的には素人の消費者が使用することを考えると助言者が必要となる。ここに薬剤師の役割がでてくるだろう。ヘルスケアの道具はOTCばかりと考えず、食事指導、生活指導など様々なアドバイスもヘスルケアの道具となります。この範囲は薬剤師も消費者も知る必要があります。
○実際に薬局の機能としての取組みはどう考えるべきでしょうか、実際に薬局に消費者が訪ずれるための条件は具体的にはどのようなものがありますか。
水野 一つ考える必要のあることは、消費者の経済的メリットがあります。医療費の抑制策の一環として老人保健の一部負担や社保本人の一割負担の動向は、薬剤師にヘルスケアをまかせる場合の一つの条件となる。薬局へ行く方が安上がりか、医療機関へ行く方がメリットがあるかの判断の基準になるでしょう。しかし、一部負担が高額になり、薬局に行っても高いOTCを販売されたり、メリットがなかったら、消費者は薬局を訪ずれはしないだろうから、短絡的には条件にはなりません。
○OTC薬の品揃え、価格体系も重要な観点かもしれませんが、OTC薬の販売を活かす服薬指導、食事指導、生活指導などのソフトがなければ薬局が機能を果すことはできないと考えられえますが。
水野 OTCのラインナップと価格は必要条件にすぎません。ソフトウエアがなければ、薬局機能を発揮する必要にして十分条件にはなりません。合理的なヘルスケアのためには、一過性の情報提供では無理がある。このことは調剤の面でも同様のことがいえましょう。保険調剤の面では、患者の薬歴管理を行うことで、過去の患者情報を最新の調剤・服薬に活かしているが、ヘスルケアでも同様なヘルスケア住民情報管理が可能です。この面での情報管理は実は保険調剤の薬歴管理等の患者志向より前から日本の薬局では実施されていました。いわゆる顧客カ-ドとかいわれているものだが、商業的イメ-ジを払拭したものにすれば利用することはできます。
○老人保健法施行以降、地域住民に対する健康教育活動は活発に展開され始めているようですが、こうした活動と薬局の機能の関連はどうでしょう。
水野 最近では地域や職場で健康教育が実施され始めている。薬局の方も体制の中に組み込まれ、栄養士、保健婦などとともに地域に責任を持った役割を果すべきだと思います。これが地域医療やヘルスケアの形であると思う。薬剤師は地域の薬物治療の担い手であるという自覚をもって積極的に機能することが大切でしょう。
○最近では従来のOTC薬とは違いスイッチOTCとか、剤型に工夫のあるOTCとかがクロ-ズアップされてきていますが、実際の薬局の店頭からみて現在のOTC薬の薬効群はヘルスケア-の道具という観点からみると十分に患者・お客さんに対応できる状況でしょうか。
水野 薬局の店頭でどの程度の薬効群の範囲が必要であるかは今後の検討を待つとしても、現況をみると、ビタミン剤の薬効群のように特定の部分に集中している傾向があります。他の薬効群では空き間が以外と多い。例えばかぜ薬の薬効群の中では鼻炎用、アレルギ-用があったとしても、最近問題となっているライ症候群に関連して、ウイルス性で若年者にはサリチル酸系解熱剤に代わり得る薬剤がなければならないこともあるでしょう。つまり薬局の店頭で必要な各薬効群の一つ一つに、数は多くいらないが適切な選択薬がない状況にあるといえますね。
○その他、子供の服用に適したもの、携帯に便利なものもないなど、薬効群ばかりでなく剤型、包装単位も不十分といえる。OTCはテンポラリ-に使用するものである側面を考えなければならないでしょう。OTCの1〜2日分で頭痛が直らなければヘルスケアの範囲を超えたものとして受診を奨めることにもなります。これは薬局の機能で数十錠も鎮痛剤を売るのは以っての外ということです。
○薬局のOTCの守備陣形は穴だらけの現状ですが、自らの手で穴を埋めることはできますか。
水野 すべてメ-カ-にお願いしなくても出来ます。薬局には自ら医薬品を製造できる許可、薬局製剤がある。これを利用すれば、適当なラインナップや価格でお客さんに提供できる品揃えは可能です。これによって薬局が消費者に対応すれば、メ-カ-も自然にラインナップや小包装に積極的に対応せざるを得なくなり、高いといわれるOTCの価格も変化するでしょう。
○薬品における各薬効群の品揃えや範囲といういわばハ-ド面の充実と同時にOTC薬の有用性を高める服薬上のソフトもまた薬局機能として重要になっていると思いますが、
水野 OTC薬がヘルスケアの道具の一つとして大切な面を持っていくかを考えれば当然のことです。アメリカではすでに必要なOTCのカテゴリ-が定められ、これにもとづくハンドブックが71年に薬剤師会の手でまとめられすでに7版をか数えている。日本でもOTC薬の範囲を決め、同様のハンドブックをまとめなければならない時期になっていると思いませんか。 |
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