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患者志向調剤システムのコンピュ-タ化(2,2,7)
ファルマシア しろペ-ジVol.17,No.4,1981-4
薬剤師への期待とその役割
地域薬局(Community Pharmacy;病院薬局でない街の薬局;小売薬局)で用いるコンピュ-タを利用した調剤システムを開発した。80年初頭よりこのシステムを水野調剤薬局で試用しているので紹介する。
わが国の地域薬局への調剤需要は、近年次第に伸びはじめている。一方、医薬品の副作用や安全性についての国民の関心は急速に高まり、医師は従来にまして慎重な薬物治療を行うようになってきた。したがって、調剤に従事する薬剤師はこれまでと同じに、処方せんに忠実に、正確に調剤するだけでは済まなくなっている。
特に、病院薬局と異なって地域薬局では、処方せんの発行を勧誘し促進する上からも、患者に便宜を失わせる代償として、ただ機械的な正確さを強調するのみでは十分でない。臨床薬学に基づいた患者情報、薬歴を参照する調剤をし、薬剤師の役割を明確にすることが望まれている。薬剤志向から患者志向調剤への変化こそ、地域薬局に期待されているものと考えられる。
地域薬局の情報収集と管理
入院患者と比較して地域薬局で収集できる患者情報は制限されるが、特異な薬効(体質)、既往症、家族歴、職業特性、食物嗜好、生活習慣などの生活像を含む項目を患者面接によって収集することができる。これらの情報は調剤に際して迅速に検索できる状態で管理されねばならないが、患者数の増加に伴って複雑化し、人力の限界を超えてしまう。このため、コンピュ-タのハ-ドウェア価格が低下しつつある傾向を先取りして、患者情報の管理をコンピュ-タに行わせることとした。同時に薬局業務の中で薬剤師プロフェッションとして本質的でないと考えられる料金計算、ラベル書き、日次月次の経理処理、統計表作成、在庫管理、社保請求明細書作成などをコンピュ-タに受持たせて、薬剤師をより一義的な仕事に集中できるように工夫した。
システムの概要
実際の業務は処方せんを受付けた薬剤師がCRT(ブラウン管画面)と標準型キ-ボ-ドを使用して患者を入力することから始まる。
・ 患者入力は患者番号(I.D.)または氏名のどちらかによる。同姓同名は生年月日、保険証番号によって区別でき、二重登録による混乱を防ぐ。
・ 直ちにその患者の情報が画面に現われ、さらにその患者の最後(新、前方)の処方内容が表示される。
・ 処方に変更のある場合はその部分のみを入力することにより、処方入力を終る。
・処方の正確なことを確認した後、薬剤師のイニシャルを入力すると必要なラベルとチェックリストが印刷され、その後各種の事務作業へ自動的に引継がれる。
患者志向調剤の実践
調剤は処方せんのみで行わず、必ず処方せんとチェックリストを照合しながら行うこととした。
薬剤師は調剤に先だって、常用量、極量、配合禁忘、薬理学的相互作用など処方された薬対薬のチェックを行うのは当然である。さらに前述した患者情報がチェックリストに印刷されているので、薬剤師はそれ等の薬が患者の特異体質、既往症および家族歴と問題を起こさないか、また、性別(妊婦)、年齢、職業特性、食物嗜好、生活習慣などをチェックすることになる。
チェックリストにはこの他、
a.メモ部があり、OTC薬の服用などその患者に関する注意事項を字数に制限なく書込んでおける。b.連用する場合に特に注意を要する薬(ステロイドなど)の過去6ヶ月の薬歴リストが自動的に印刷される。
c.現に調剤している処方せん以外にその時点で使用している薬のある場合(内科と皮膚科などの複数科受診による重複投薬)に、過量、相互作用などについて薬剤師への警告。
を表示する。また調剤過誤を防止するため、
d.錠剤等の識別番号(コ-ド)の表示。
e.倍散使用時の原末量表示。
f.混合散剤の総量と分包数の表示。
などが行われる。
チェックリストにはこれらの結果が印刷されて薬剤師に警告を与えるが、判断はあくまでも薬剤師自身が行うべきことである。こうして情報収集上の制約からこのシステムは患者の安全確保に焦点が絞られた。
システム試用開始後、患者情報収集協力のため多数の医師にシステムの説明を行った。殆どの医師は地域薬局薬剤師のこうした役割に賛成し、協力を約束された。
現在、システムの機能充実と複数薬局への適用を目標にプログラムの改善を行っている。 |
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