株式会社 じほう
Pharmaweek
2003年(平成15年)7月21日
シリーズ 第93回 投薬カウンターをリニューアル
薬局のサバイバル
差別化路線に挑む
ブースの仕切りに視野選択ガラスを採用
カウンターの仕上げ材にはチタンも使用
水野薬局(東京)
日本初の調剤薬局である東京の水野薬局(文京区)。同薬局の繁栄を支えているのは長い歴史だけではない。歴史にあぐらをかいて旧態依然となった他の薬局も多い中、同薬局は常に進化し続けていることが発展の源となっている。その水野薬局が6月、投薬カウンターのリニューアルに踏み切った。服薬指導ブースの仕切りには視野選択ガラスを採用。カウンターの仕上げ材にはチタンを使用するなど、薬局でも珍しい試みに取り組んだ。
患者のプライバシーに配慮
水野薬局は6月中旬、文京区湯島の本局にある投薬カウンターをリニューアルした。同薬局がリニューアルに取り組んだのは12〜13年ぶり。時代の流れが変わり、プライバシーを重視する風潮が一段と強まってきたことに対応するため、カウンターのリニューアルに踏み切った。設計には1年の歳月をかけたという。
調剤薬局では近年、カウンターのところに曇りガラスの仕切りを立て、服薬指導のためのブースを作るところが相次いでいる。一般的な曇りガラスは患者のプライバシーを確保できるものの、逆に待合室全体に目を配らなければならない薬剤師らの視界を遮ることになる。同薬局はこの問題の解消を図るため、視野選択ガラスを採用。患者のプライバシーを確保しながら、薬剤師が待合室全体の様子を把握できるようにした。
視野選択ガラスとは特殊なフィルムを挟み込んだガラス。視線の入射角によって、そのガラスが曇って見えたり、透明に見えたりする。高級住宅では風呂場や2階のベランダなどに使われているが、薬局で導入しているところは極めて珍しいとみられる。高機能のため、価格も一般的な曇りガラスの約5倍ほどという。
同薬局のカウンターは患者と患者の間に視野選択ガラスの仕切りを立てた格好。仕切りと仕切りの間に患者が入り、その空間が1つのブースになるようにした。患者が隣の患者の方に視線を向けると、両サイドに置かれた視野選択ガラスを真正面から見ることになる。この場合、ガラスは曇りガラスに見えるため、相手の様子は一切伺えない。つまり、患者同士お互い隣を気にしたり、覗かれたりする心配がないわけだ。
待合室全体の様子把握も
一方、投薬している薬剤師はガラスを斜めから視線を入れることになる。この場合、ガラスは透明なガラスに見え、店内の様子もよく見渡すことができる。カウンターはブースごとに分けることができ、配置を変更したい場合は動かすことも可能だ。同薬局ではこのブース状のカウンターを6台連結している。カウンターの下部は鉄製の金網を採用。照明で前方を照らしているため、患者側からは中が暗くて見えない。薬剤師側からは外が見えるものの、これが「従業員の程よい緊張感につながっている」(水野善郎氏)という。
耐食性に優れ殺菌効果もあるチタン
またカウンターの仕上げ材にチタンを採用した背景には、冬のインフルエンザの流行や新型肺炎SARSの影響などもあり、「カウンターの清掃・消毒を徹底したい」(水野善郎氏)という思いがあった。これまでは木製のカウンターにダイノックシート(装飾フィルム)を貼り付けていたが、同シートは印鑑やボールペンなどの汚れが目立ってくると、張り替えなければならない欠点がある。
金属の方が清掃・消毒はしやすいものの、逆に金属アレルギーをもたらしたり、錆びたりするケースがある。その点、チタンは耐食性に優れ、殺菌効果もある。アルコールなどでの消毒も容易だ。カウンターに使用するケースはあまり例がないものの、金属アレルギーとなる物質を発しない上、熱伝導率も低い。ただ熱伝導率の低いことから、溶接が難しい。このため、溶接部を極力減らした。
同薬局と共同でカウンターの設計を手がけたスキーマ建築計画(東京都世田谷区)は「ステンレスと違い、チタンは見た目に温か味があり、薬局のカウンターとしては良かった」とみる。カウンターは全国を対象に販売できる体制を整えており、早々に導入した薬局も現われた。