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株式会社 じほう
月刊薬事
Vol.39,No.4(1997)
P59〜P66
ファーマシューティカルケアにおける薬剤師業務

開局薬剤師が行うファーマシューティカルケア
冨岡 正博(水野薬局)

はじめに

1993年に東京で行われたWHO/FIP会議以降、「ファーマシューティカルケアの提供」に向けての薬剤師の役割が盛んに論議されるようになった。

ここでは、ファーマシューティカルケアの意味をふまえ、開局薬局ではどのようなことを考え、実践しているかを紹介する。

ファーマシューティカルケアとは?

一体、開局薬剤師が消費者(患者)にファーマシューティカルケアを提供していくとはどういうことなのか。私たちが今まで行ってきた薬局業務を180度方向転換することなのだろうか。

1. 薬剤師法第1章総則による薬剤師の役割

日本の薬剤師法第1章総則は、薬剤師の任務を次のように定義している。

【薬剤師法第1章総則(第1条)】

薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。

この総則によると、私達の業務目標や目標に向けての行動は、
業務目標:国民の健康は生活を確保する
行  動:調剤、医薬品の供給、その他の薬事衛生をつかさどる
公衆衛生の向上及び増進に寄与する
である。

では、
  1. 「国民の健康な生活」とは何なのか?
  2. 国民全体をさすのか。個々をさすのか。
  3. 健康の基準は何なのか。決めるのは誰なのか。
  4. 慢性疾患患者の安定した状態は「健康」にあたるのか。

このように総則を見直すと、そこに定義されていることは業務内容に関することが多く、目標は漠然としている。

2. 漠然とした目標での仕事

私たちはカウンター越しに『「風邪薬ください。」「はい、風邪薬ですね。」』と顧客の症状を確認しないで薬を売ってしまったり、『「今日の薬は、これです。では、お大事に。」』とただ処方せん通りの薬剤を患者に渡すだけになってしまったり、服薬指導も指導文書という「紙の交付」をするだけで終わりにしてしまうことはないだろうか。

目標が漠然としたままで業務を進めていると、個々の行動をとることが薬剤師の業務目標になって、行動の意義や目的を忘れてしまうことがある。現在は消費者が情報や知識を得て、独自の価値観で生産者を選ぶ時代である。目標が漠然としていて、やっていることもあいまいでいたら、薬剤師は消費者から見捨てられてしまうだろう。「大衆薬をコンビニで」という規制緩和論争は、消費者が薬剤師をプロフェッションでないと思っていることなのかもしれない。

3. 同じ医療従事者である医師は

一方、医者の仕事を「規制」とはあまり聞かない。つまり、消費者は医師をプロフェッションと認めている。きっと、消費者にとって医師の仕事の目的はわかりやすく、その善し悪しを判断する結果も明確なのだろう。なぜ、医師の仕事は消費者にわかりやすいのだろうか。

医師はインフォームド・コンセントを医療の基本にして、患者とリレーションシップをとりながら治療を進める努力をしている。自分の治療意図を患者に話し同意を得ること、そして治療経緯についてもその都度患者に説明し、疾患に対する自分の考えや治療の方向性を患者に示している。つまり、医師の仕事は自分の考えや方向性を患者に示すことで、整理、体系づけられているのである。

4. 薬剤師の仕事の整理

私たちは、どうすれば「規制」といわれない医師のように消費者に対して薬剤師の職能をきちんと示せるのだろうか。

ここでヘプラーのファーマシューティカルケアの定義を見てみる。

【ヘプラーの定義】
ファーマシューティカルケアとは、患者のQuality of Lifeを改善する、はっきりとして結果をもたらすために採られる薬物治療を、責任持って遂行することである。
薬剤師業務の目標 :患者のQOLを改善する
目標に向けての行動:薬物治療を責任もって遂行する
はっきりとして結果をもたらす

薬剤師業務の目標を、患者のQOLの改善にし、薬物治療を通じて明確な結果をもたらす努力をしよう。その結果により、薬剤師の存在意義を消費者に理解、評価してもらおう。というのがファーマシューティカルケアの主張である。

つまり、ファーマシューティカルケアが私たちに示しているのは、薬剤師業務の内容ではなく、今まで行っていた業務を整理、体系づけるための目標である。目標により体系づけられた業務をすることで、薬剤師の職能を消費者によりよく理解してもらえるのではないだろうか。逆に考えると、ファーマシューティカルケアを実践することで、消費者に私たちの仕事がわかりやすくなるため、「良い結果」がだせないと「ヤブ薬剤師」といわれてしまうかもしれない。

開局でファーマシューティカルケアを実践するとは

開局でファーマシューティカルケアを実践するのは、「患者のQOLの改善」という目標により薬局業務を体系づけることになる。

しかし、ファーマシューティカルケアはテクノロジーでないので、薬局業務を体系づけるのに決まった方法はない。そのため、私たちは目的を認識し、基本的な行動パターンを考える必要がある。

1. ファーマシューティカルケアを実践する目的

ファーマシューティカルケアを実践する目的は、私たちが患者にサービス(専門的技能)を提供し、そのサービスに対して患者が権限を付与するような信頼関係を薬剤師と患者の間に作ることと考える。つまり、患者に選んでもらえる薬局・薬剤師になることである。

2. 基本的な行動パターンの考察

患者と薬剤師の間に信頼関係を作るためには、

(1) 個々の患者が私たちに要求していることは何なのかを考える。
(2) 患者の要求に対して、できることから行い、結果をだす。
(3) 結果によって、患者がどうなったかを観察する。
(1)〜(3)の繰り返しが基本的な行動パターンになると考える。

私たちには、長年とりかかっている「薬歴」がある。「薬歴」を活用することによって、私たちは患者の要求を知る手がかりを得ている。しかし、はじめから患者の要求に100%応えることは難しい。そこで、患者の要求に優先順位をつけ、応えられることから始める。これが私たちの出発点になる。こうした行動を継続することが、薬局業務を体系づけることになり、一つ一つの結果が、患者のQOL改善、そして患者の私たちへの信頼になる。

水野での実際

では、水野薬局が、「ファーマシューティカルケアの提供」に向けて、どのような取り組みをしているかを紹介する。

水野の目標

私たちは、患者が薬剤師に求めていることを「患者の権利の尊重」「合理的な薬物治療の評価」「コンスタントな結果」と考え、それを念頭に業務を行っている。

1) 患者の権利の尊重

薬剤師は、消費者に医療従事者としての独占を許されている。消費者(患者)の権利(医療を受ける権利、知る権利・・)を守ることは、私たちの義務である。

2) 合理的に薬物治療を評価して、コンスタントな結果を出す

薬剤師の存在意義は、単に医薬品を供給するだけでなく、さまざまな情報を整理し、合理的に薬物治療を評価すること、そしてその患者に適した薬剤、情報を選択し、薬物治療を成功に導くことにある。

3. ゴールへ向けての実践

1) 患者の権利の尊重
「患者の知る権利の尊重」

患者への情報提供(薬名、効能、副作用etc.)は、薬剤交付時に薬剤師による口頭で行われることが多い。しかし、その内容を本当に患者が理解したかは確信が持てなかった。そこで、情報提供媒体として薬袋に注目し、1993年10月から、手始めに薬袋に調剤薬品名の記載を行った。その後、薬剤と薬袋を患者が一致させる手段として識別コードも記載した。薬名記載後、患者の意見や感想を確認するためにアンケート調査を行った。その結果を表1に紹介する。

アンケートの結果、96.5%の患者から薬名記載は賛同を得た。実際には、薬袋に薬名を記載しただけであるが、業務には次のような良い影響が出ている。まず、患者とのコミュニケーションがそれまでよりも円滑になった。薬名を表示する前は、薬剤師が薬について患者に確認、説明をする時に、とかく「白い薬」「シートに青い線が入った薬」などと表現することが多かった。それが薬名表示を契機に直接薬名で患者と会話がもてるようになり、それまでややもすると患者と薬剤師の間で意図する薬に違いがあった可能性が確実に回避できるようになった。

また、患者からの質問が服用・使用方法や飲み忘れた時の対処方法などから薬効、副作用、相互作用などに関することに変わった。これは患者が納得したうえで薬物治療に参加しようとする意欲に通じる。裏を返すと、患者面接を行う薬剤師の質が、その患者の薬物治療の正否に影響することが以前より大きくなり、患者面接の重要性が増したわけである。

1996年4月より、「情報提供加算」が調剤報酬で認められ、薬名だけでなく患者への情報提供は各薬局でさまざまな試みがされていることだろう。「情報提供」は、患者の薬物治療の有効性を上げると同時に、患者が私たちに薬剤師の質を問いはじめるきっかけになることを忘れてはならない。

「いつでも良い医療を受ける権利の尊重」

患者が薬剤師を必要とするときに、薬局が閉まっていては話にならない。

水野薬局は独自に、1985年から年末年始の開局、1987年に休日開局(8:30〜22:00)を始めた。こうした体制をとっていくうちに、近隣の病院や医院から年末年始の処方せんの応需を求められるようになり、私たちの体制作りに賛同してくれた近隣の薬局が協力してくれるようになった。そして休日開局を輪番制で行うことになった。

さらに、近隣の救急病院から、夜間処方せん応需の依頼を受け、1990年夜間宿直の体制を整えた。当初、夜間対応にはかなりの労力や設備の問題もあり、私たちだけで対応していたが、近隣の薬局の協力もあり、現在、水野を含め6薬局で輪番制による夜間対応を行っている。一方、休日対応は、現在では地区薬剤師会の呼びかけで、地区全体での輪番制になっている。休日対応の薬局名や住所等は広報に掲載され、住民に知らされている。将来的には、夜間対応も地域薬局全体で行われ、広報を通じて住民に周知されることを望んでいる。

時間外対応は、「やらなくては」と頭ではわかっていても労力がかかるため、一つの薬局で進めてもなかなかうまくいかないものである。近隣の薬局や地区の薬剤師会等に働きかけ、地域薬局・薬剤師全体で取り組んでいかなければ、実現できるものではないと感じている。

3.合理的に薬物治療を評価するために

薬剤師が合理的に薬物治療を評価し、その患者に最適な薬剤や情報を選択するには、処方せんから得られる情報以外に患者の固有情報が必要になる。開局薬剤師は、固有情報を患者から聞き出すしか方法がないため、患者カウンセリングは重要な業務となる。水野薬局では、勤務薬剤師の約半数が処方せん受付・薬剤交付のカウンターに配置し、患者カウンセリングに努めている。

しかし、患者カウンセリングで得られた情報や薬剤師が評価した薬物治療の結果の記録は、患者の来局ごとに行われるため、その情報量はしだいに多くなる。膨大になった記録が単に羅列されていては、いざというときに必要な情報が検索できず、薬物治療の評価に使えなくなってしまう。記録の整理の仕方を工夫し、いつでも生きた情報として使えるようにすることが合理的に薬物治療を評価するための鍵である。

私たちは、情報の即時検索の手段としてコンピュータを活用し、記録の整理は、それまで経時的にとっていた患者情報や薬剤師の評価などを患者の持つ問題ごとにまとめることにした。方法は、クリニカルファーマシーで評価されているSOAP方式を活用して、患者の薬物治療の問題ごとに、患者情報を主観的情報(Subjective)と客観的情報(Objective)に分けて整理し、その記録をもとに行われた評価(Assessment)や服薬指導などの結果(Plan)、時にはプランによる目標(Target)を記録することにした。

ここで、SOAP方式の一例を紹介する(図1)。

SOAP方式を使うことにより、今まで頭の中だけで行っていた薬剤師の考え方の手順や私たちがその薬物治療に関わった一連の動きがわかりやすくなった。さらに、薬物治療を評価した経緯やその結果が明確に記録されるので、その患者の薬物治療を体系づけて評価するための指針ができた。

4. コンスタントな結果をだすために

水野薬局では、薬剤師を支援するコンピュータシステムを独自に開発し、導入している。患者の情報をパノラマ的に即時に画面表示させたり、その患者から受けた処方内容と現在、患者が服用している薬剤の相互作用をチェックする機能を取り入れている。先ほどのSOAP方式の記録もコンピュータシステムのオンラインに組み込まれていて、即時活用している。

しかし、情報がすぐに得られても、その情報を的確に評価したり、情報の整理を継続しなくてはコンスタントな結果にはつながらない。時に、業務の中で、患者応対や薬物治療の評価はその場限りになってしまうことがある。こうした点を改め、患者応対や評価を充実できるように、私たちは各薬剤師がある患者の薬物治療の問題に対して行った情報収集、整理、評価等の結果を発表する機会を「処方検討会」と称して朝礼などで行っている。ここである薬剤師が評価した結果を全体で検討し、再評価している。再評価の結果は、SOAP形式のAに記録され、患者の次回来局時の情報として役立てている。

また、薬物治療に関するジャーナルなどを読んだ内容の報告会を「グランドラウンド」と称して月に1度行い、その内容を全体で再評価している。さまざまな情報を整理、評価して、独自の情報を作ることを目的にしている。

コンスタントな結果をだすには、いかに情報を整理し、評価するか、その手法や手段を私たちが会得し、継続する必要がある。私たちにとってコンピュータシステムは、情報を整理・活用する道具であり、処方検討会やグランドラウンドは情報評価の訓練の場になっている。

5. 今後の課題

ファーマシューティカルケアという目標に向けて仕事をしていくと、患者の要求に応えるために私たちがやらなくてはならないことや考えなくてはならないことがわかってくる。

  • 最良の薬物治療情報を得ること
  • コミュニケーションの難しさ
  • 情報活動への時間が足りない
などである。こうしたことを改善していくことが、私たちの努力目標になっている。

1) 最良の薬物治療情報を得ること

患者の薬物治療を評価するのに私たちが必要とする情報は薬学的知識だけではなく、薬物治療情報である。さまざまな情報を評価して、独自に最良の薬物治療情報を作っていくこと、そしてその情報をもとに科学的、中立的な立場で薬物治療を評価することを消費者は薬剤師に求めているのではないだろうか。これは、私自身が添付文書に頼った業務の反省でもある。添付文書はあくまでも営利を目的として作られた情報である。この情報を私たちが100%信じ、その情報だけで仕事を進めていたら、それは自分の存在価値を自ら否定することになる。

しかし、非営利的、中立的に評価された薬物治療情報は日本語のものは少ない。また、最新の情報は、英語のジャーナルに発表されることが多い。英語の文献に取り組むのは語学力や時間的に困難なことではあるが、少しずつでも読む努力をして、中立的、科学的に評価された情報を使う習慣をつけようとしている。

2) コミュニケーションの難しさ

コミュニケーションの重要性や難しさはやればやるほど感じる。実際、患者に情報提供して、その内容が本当に相手にわかってもらえたか不安になることがある。「わかってくれたはず」と薬剤師の勝手な思い込みでは良い結果は得られない。

やはり、患者と薬剤師の会話は、双方通行でなくてはならない。そのため、会話の方法を工夫したり、患者面接環境の整備に気を配っている。

患者と会話を持つときは、Open Question(Yes,Noで終わらない質問)を用いることを心がけ少しでも患者に何か喋ってもらうようにしてみたり、カウンターの配置や音響設備を工夫し、患者のプライバシーの保護を考えている。また、患者面接にあたる薬剤師は白衣を着ないで業務についている。白衣は医療従事者のユニホームであるが、患者からすると威圧的に感じられるのではないだろうか。実際、病院で血圧を計ると普段より高くなってしまう患者は多い。少しでも患者に平常心で私たちと会話してもらうよう努めている。

3) 情報活動への時間が足りない

実際、患者カウンセリングをはじめ、情報に関わる仕事に私たちが取り組むと時間が足りないことに気づく。たとえば、薬物治療上の問題にぶつかると医師への疑義照会や患者情報を再整理したり文献等を再調査する時間が私たちには必要になる。ファーマシューティカルケアの提供には、これらはいい加減にできない時間である。しかし、私たちが患者のQOL向上のためにとっている行動には、患者の待ち時間というコストがかかっていることを忘れてはならない。ファーマシューティカルケアの提供をしていくには、薬局業務を効率的なものにして、患者の薬物治療を評価する時間を作っていくことが私たちの課題になる。

そこで私たちは、調剤室業務の非効率な部分を知るために患者の待ち時間調査を年に数度行い、その改善として機器を整備したり、人員を増やしてきた。しかし、何年か前と近年行った調査結果はほとんど変わりなく平均15分位であった。

では、限られた時間で情報活動を有意義にするには、どうしたらいいのだろうか。日本薬剤師会のヨーロッパ薬局見学の報告は、私たちの課題解決の参考になる。この報告の調査した薬局の一処方当たりの平均剤数が1.6品目、調製平均時間100秒だった。日本の現状とはかけはなれている。日本とはどこが違うのだろうか。報告された薬局では、薬剤師ではないアシスタント・ファーマシストが調剤室業務を行っている。その業務内容は散剤や液剤の調製ではなく、既製包装薬品の品出しである。私たちが患者の薬物治療を評価するための時間を患者の待ち時間に影響することなく作るには、こうしたヨーロッパの薬局で行われていることが参考になるのではないだろうか。つまり、調剤室業務の見直しである。

私たちはこの例にならって、薬の充填や医薬品在庫数管理など薬剤師でなくてもできる仕事を探し、その業務を非薬剤師に担当してもらっている。以前より、情報活動に薬剤師が割ける時間が増えてはいるが、待ち時間に対しては際立った影響はでていない。やはり、薬局業務の効率化には、調剤そのものの形態を変える必要があるのではないだろうか。調剤室業務の問題点と解決するための一つの案が表2である。

しかし、こうした投薬形態に関わる問題は薬局独自にできることではない。私たちは機会あるごとに主張し、同胞や他の医療従事者と協議していかなくてはならない。

4) 仕事環境の整備

ここまでは、主に薬物治療に焦点をあてて、私たちの取り組みを紹介してきた。開局でファーマシューティカルケアを実践するには、一定の水準を保つ業務環境も大きな要素になるのではないかと考えている。なぜなら、適正な人数、レベルでないと私たちの業務は、毎日が残業、逆に毎日が「ヒマ」という状態になりかねない。すると薬剤師自身に心身のゆとりがなくなったり、「スキ」ができてしまい、適切な判断ができない可能性がでてきてしまうからである。それでは患者に良い結果は提供できない。

こうした観点から、私たちは、労働基準法の「週労40時間」も伴い、変動労働時間という制度を使い、適正なレベルでの勤務体制造りを始めた。今までの私たちの仕事を分析し、遅くまで仕事しなければならない日をピックアップする。この今まで残業していた時間を変動労働時間という勤務時間にまとめる。また、毎日の薬局業務を一定の水準にするため、各局員のレベルを把握し、(レベル)×(人数)により各日の適正をはかる。こうすることで人的に余裕が出た日を休暇日にあて、完全週休2日による勤務体制を開始した。

しかし、私たちはサラリーマンではなく、プロフェッションである。ただ、休みが増えたと喜んでいるだけでは薬局業務がうまくいかなくなってしまう。一定水準を保つ勤務体制を実施するには、スケジュール作成よりも薬剤師各人が医療従事者としての自覚を持つことが大切になる。

「医療従事者としての姿勢」

まず、私たちは計画された休み以外に病気などで業務に「穴」を開けられない。まぜなら、「穴」を開けたままでは、薬局のレベルが下がってしまい、それは患者へのサービスの低下につながってしまうからである。万が一、休まなくてはならない場合、医師でいう「代診」のような局員を探し、勤務を代わってもらわなくてはならない。

「レベルを持続するために」

私たちの採用した制度では、開局日に勤務しない日があるため、自分しかわからない仕事があると、業務がうまくいかなくなる危険性がある。そのため、自分の仕事を整理し、仕事の内容が他の局員にも容易にわかるように記録、伝達しておくことが重要になる。たとえば、「薬歴」を誰が見てもわかるように整理、記録しておけば、その患者の応対は一定のレベルが保てる。

ファーマシューティカルケアの提供に向けて、私たちは、仕事に「穴」を開けたら患者にどういう影響が出るか考えることや自分がいないときにもレベルが保てるように常に仕事を整理しておく必要がある。こうした心構えは、私たちのような複数薬剤師で業務をしている薬局に限ったものではない。

たとえば、私の地区薬剤師会では、ある薬局の薬剤師が急病などで不足してしまった場合、連絡を取り合い、その薬局をサポートする体制がとられている。私も以前に薬剤師会から要請を受けて、他の薬局の業務を手伝ったことがある。このように薬剤師会等で各薬局・薬剤師が同じ認識の中で連携をとり、患者へのサービスのレベルが保てるような体制を作っておくことは、ファーマシューティカルケアを実践するうえで大切に感じる。

まとめ

ファーマシューティカルケアは、私たちに消費者主導社会での薬剤師業務の方向性を示している。ファーマシューティカルケアを実践する目的は、患者のQOLを改善するために、薬物治療を責任もって評価し、はっきりとした結果を提供することで薬剤師と患者の間に信頼関係を作り、消費者(患者)に選んでもらえる薬局・薬剤師になることである。

1. 目標にむけて、今できることを探そう

患者が私たちに要求しているものを分析し、それに優先順位をつけ、応えられることから始める。これがファーマシュティカルケアを実践する最初のステップなる。こうした行動を継続することで、患者の要求に私たちは近づける。それが患者の薬剤師への信頼になり、ファーマシューティカルケアを実践する目的につながる。

水野薬局では、「患者権利の尊重」「合理的な薬物治療の評価」「コンスタントな結果」を患者の要求と考え、結果を得るために「患者カウンセリングと情報公開」「記録の作り方」「情報評価の手法、手段」をより良くしていくことが努力目標になっている。

2.「これをやれば全て」はない

しかし、ファーマシューティカルケアの提供には「これをやれば全て」はない。実務で大切なことは、細かい方法論よりも、私たちがファーマシューティカルケアの目的を忘れないこと、忘れないとは、「これでいいのか」と思い続け、自身に問い続けることではないかと思う。

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